大阪簡易裁判所 昭和57年(ろ)1241号 判決 1983年2月28日
主文
被告人を拘留二五日に処する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、かねてから知人の交通事故に関し、相手方から損害賠償交渉の委任を受けている日新火災海上保険株式会社(代表取締役松山喬)の顧問弁護士岩崎英世と交渉を続けていたところ、同人及び右日新火災海上保険関係者に圧迫を加えて右交渉を有利に進めようと企て、ほか数名と共謀のうえ、昭和五七年七月三〇日午前二時三〇分ころから午前三時三〇分ころまでの間、大阪市北区曽根崎新地二丁目二番一六号所在の東洋不動産株式会社(代表取締役田口達郎)所有管理にかかる桜橋東洋ビル一階北側玄関柱に、管理者の許諾を受けないで、「東京海上の関連会社である日新火災は、悪徳岩崎弁護士と結託して被害者を弾圧している、両社は責任を取れ!」と記載したビラ一二枚を糊で貼付し、もつて公然右日新火災海上保険株式会社及び右岩崎英世を侮辱するとともに、みだりに他人の所有する工作物にはり札をしたものである。
(証拠の標目)(省略)
(法令の適用)
判示所為中侮辱の点 刑法二三一条、六〇条
判示工作物にはり札をした点 軽犯罪法一条三三号、刑法六〇条
観念的競合 刑法五四条一項前段、一〇条(犯情の重い岩崎英世に対する侮辱の罪の刑で処断、拘留刑選択)